静岡県駿東郡 米山歯科クリニック院長
POIC研究会会長
米山 武義 先生
「健康は口から」という文化を創りたい。
日本の口腔ケアの第一人者である米山先生に、その内に秘めた情熱や想いを伺いました。
心のケアが究極のメンテナンスであり、ゴールです。
例えば、どこか体の調子が悪くて内科にかかるとします。すべてとは言いませんが、診察が非常にタイトなため、先生が診てくれる時間が極端に短くなっているのです。
さらに、ひどい場合には先生は終始パソコンばかりを見つめ、目も合わさずに会話をし、薬を処方するだけ…。これでは治るものも治らないのでは…。
当院では、歯科ですので当然歯の治療を行いますがそれだけでなく、心に響く診療を心掛けています。
そのために実践しているのが人を診る口腔医療です。
歯の治療に加え、口腔医療は口の中の衛生管理と口腔機能を保つことで体や心に良い影響を及ぼす医療を指すと私は考えています。
特に心に関して、現代人は日頃から多くのストレスを抱えながら過ごしています。
そこで、当院がその受け皿として機能することをめざしているのです。
こんな患者さんも実際にいらっしゃいます。
年齢は80歳超。
4ヶ月ごとに歯周病の管理のために来院されています。
話を聞けば常に孤独に悩まされている方で、来院される度に「どうせ私なんて…死にたいよ」と力なく話されている姿をよく拝見します。
それでも当院に欠かさず来ていただける理由を訪ねると「スタッフの方がよく話を聞いてくれるし、口もさっぱりするのですごく気分が良くなるんです。」と、嬉しいお言葉をいただけました。
こうして、歯の治療だけでなく、生きる希望のような心の部分での元気を与えられることは、口腔医療を掲げる者としてこの上ない喜びです。
口腔管理のために患者さん一人にかける診察時間は40~50分。
なるべく多くの方にじっくり時間をかけて心に響く診療がしたいという決意の表れなのです。
スタッフと目線の高さを合わせ想いを共有する
院長の私がどんなに立派な理想をもっていても、それがスタッフと共有できていなければ意味がありません。
私としては、患者さんの心に響く診療をめざしているわけですから、当然スタッフには患者さんの話をよく聞き、患者さんの立場になって考え、言葉を返してあげるようにと言い聞かせています。
また、院内ではなるべくポジティブな表現の言葉を使うようにとも言っています。
それだけでも、院内の空気が明るくなるのです。
今でこそ良い雰囲気の当院ですが、私が若かった頃はスタッフに対してずいぶん気の短い態度をとって、まわりに嫌な思いをさせたなと、過去を振り返って感じます。
スタッフは上司の背中を見て育つもの。
傲慢な上司のもとでは傲慢なスタッフしか育ちません。
どんなに前日嫌なことがあったとしても、翌朝出勤したときには笑顔で挨拶を交わす。
それだけのことで、院内はぐっと誰にとっても居心地良い空間になると気づいたのです。
それ以来当院では、スタッフ間での良好なコミュニケーションのお陰で、患者さんの心の良質なケアにつながる対応を確立できました。
御殿場の高齢者施設で口腔ケアの素晴らしさを実証
私が心に響く診療、つまり口腔医療を意識するようになったきっかけは、大学を卒業してすぐの頃でした。
友人から御殿場にある高齢者施設での口腔ケアにかかわるボランティア活動を頼まれたことに始まります。
そこで年配の方の口腔を見せてもらい、愕然としました。
歯は折れ、口は荒れ、匂いはきつく、まるでがれきの山のようでした。
「この状況を何とかしなければ」という想いが、この頃に芽生えたのです。
その後2年間、私はスウェーデンへ留学。
最先端の歯周病学を学びました。
2年後に日本に戻り、久々に例の高齢者施設に向かうと、そこには以前とほぼ変わらない状況が…。
私は思い切って、継続的な口腔ケアがもたらす効果を、施設の方を対象に検証することにしました。
すると、当時は思いもよらなかった結果が次々に実証されていったのです。
歯肉の炎症が治り、匂いが消え、表情が明るくなる…というような好循環が生まれ、ついには発熱する方が激減したというデータを獲得するにまで至りました。
私にとってこれは、口腔医療の可能性に触れた瞬間であり、時代が変わった瞬間であると考えています。
口腔医療がますます身近な時代になってくる
今後口腔医療は「口腔衛生管理」と「機能管理」の面で、間違いなく重要視されていくことになるだろうと私は確信しています。
衛生管理について言えば、口腔ケアにより肺炎の予防が期待できるとの検証結果が発表されていること。
口は感染症を起こす細菌の温床です。
すなわち口腔内をケアしていれば、肺炎になる人を大幅に削減でき、人々は抗生物質などの薬に頼ることなく健康を手に入れ、さらに医療費の削減にもつながるという、各方面に素晴らしい効果が期待できます。
また、口は食べるという機能をもっています。
口から食べられる喜びは、生きる喜びにつながります。
それがなくなってしまっては、人生の楽しみの大部分が失われると言っても過言ではないでしょう。
そうした面からも口腔ケアの重要性が叫ばれており、このことが人間として大切な心のケアにつながっていくのです。
私が会長を務めるPOIC研究会の除菌水を使用することは、まさに私の理念を体現しています。
歯科で使用されているユニット内を流れる水に細菌がゼロ。
そんな当たり前のように思われることが徹底されていない歯科医療機関も現状としては多いと聞いています。
私がめざしている大きな目標は「健康は口から」という文化を創ることです。
そのためには患者さんや地域の方一人ひとりに草の根的に口腔医療の大切さを広めて行くことが重要です。
私はこの4月から町内会の会長になりますが、町内のいろんな人と関わりながら、口腔ケアの大切さを多くの人に伝えていけたらと思っています。
ちょっと調子が悪いなと感じたら、内科に行く前に歯科に行く。
そんな行動が当たり前になる未来が、すぐそこまで来ているように感じています。
1991年、静岡県長泉町に開設された米山歯科クリニックの院長。「心に響く診療」をモットーに、単なる歯科治療に留まらない口腔医療を提唱している。日本の口腔ケアの第一人者であり、2014年にはその活動が認められ保健文化賞を受賞。著書には「誤嚥性肺炎を予防する口腔ケア(共著)」などがある。
先生が日々実践されていて、皆さんにオススメできる健康法をご紹介します。
疲れたときの塩分補給や腐敗防止効果などを期待し、梅干しは日の丸弁当の主役として古来より日本人に親しまれてきました。
病原性の細菌などは、梅が苦手なんです。
これは健康に良いに決まっていると思い、1日にいくつも食べることはもちろん、最近は小梅の種も飲み込んでいます。
腸の中を梅干しの種が動いているイメージがして、心なしか便通が良くなったような気もしています。
そして何といっても梅干しは安価でどこでも買えますから、誰にでもお勧めできる健康食材です。
※先生のように小梅の種を飲む場合は、喉に詰まらせないように十分ご注意ください。
取材で訪れた土地の名物や名所を少しだけ紹介。地元ならではの価値ある情報をギュッと凝縮してお届けします。
柿田川
全長約1.2kmの日本で最も短い一級河川。柿田川のわき水は一日に約100万トンとも言われ、その量は東洋一なのだそう。長良川・四万十川とともに日本三大清流の一つに数えられている。
鰻
富士山のわき水に数日間さらして泥を吐かせているため、鰻特有の生臭さや余分な脂をとることにより美味しくなるんだとか。お勧めは「桜家」「うな繁」。
三嶋大社
鎌倉幕府の初代将軍、源頼朝が祈願したことでも知られ、年間を通じ多くの参拝客が訪れている。推定樹齢1200年を越えるとされる境内の金木犀も見どころの一つ。
健康を維持するために欠かせない栄養素(ミネラル)です。
酵素は、食事で摂取した栄養をエネルギーに換え、食物の消化や血液の循環、細胞の新陳代謝など、わたしたちの体の働きに大きく関わっています。
酵素が不足すると、無気力、消化不良、肌の不調など様々な影響を与えます。健康的な生活に、酵素は重要な役割を担っているのです。
その酵素に密接に関わり、さらに働きを助けているのがマグネシウム。
いくら酵素が頑張ろうとしていても、マグネシウムを効果的に摂取しないと、宝も宝として機能しないということなのです。
様々な状態や要素が連鎖してカタチ作られているわたしたちの体では、ピンポイントではなく、繋がりや流れの中で栄養素を考える、ということが重要です。
日頃から意識して摂取している栄養素に、マグネシウムの効果的な補給も心掛け、健康な毎日を送りましょう。
触れているモノに、もう少しだけ近づいてみませんか?
それはきっと、あなたの新しい文化となり、未来を豊かにしてくれるはず…。
とはいえ、昨今のカフェブーム。
拘りの品種にイケメンのバリスタ、お洒落な空間に気の利いたスィーツメニュー…。
あらゆる趣向を凝らしたお店が、人々のライフスタイルの一部になろうと立候補しています。
そんなカフェでも、スマホ片手にネットに繋がり、パソコンで仕事に繋がってしまう私たち。
はたまたおしゃべりに熱中するだけになってしまったり。
そこで…、時間に追われるだけの日々にストップ!
自分の手でじっくり珈琲を淹れて、ゆるやかな時の流れを味わってみてはいかがでしょうか?
毎日が難しいなら、週末からでも。
ひとりで、たいせつな家族と、気の合う友人や職場の仲間たちと…。
はじめの一歩、まずは「ここから」。
❶豆を選ぶ
お好み、焙煎して10日以内が理想。
浅煎り、深煎りなどその日の気分で。
❷挽き方・淹れ方
まずは中挽きでペーパードリップ。粗挽きでマキネッタ、細挽きでエスプレッソを!
❸お湯のこと
水は軟水(水道水OK)、90°程度がベストなので沸騰直前に止めておく。
❹器のこと
冷めにくい、厚みのあるカップで。
❺時間と場所
お昼の後や夜に「お茶の時間」を作って、ゆったりできる居心地の良い場所で。
❻お伴1:お菓子
一粒のチョコでも美味しい。珈琲に合うお菓子を探すのもまた楽しみ!
❼お伴2:音楽や絵画
日頃あまり聞かないジャンルの音楽や、気になっていた画集などはいかが?
❽一緒に楽しむ人
一人もいいですが、いると尚良し!
それから、気になる歯への着色を落とすクリーニングやホワイトニング、黄ばみそのものをつきにくくするトリートメントなど、歯科医が関係する事も結構あります。
また、紅茶党の方!もちろん紅茶の香りにつつまれるのも幸せな時間ですよね。
「未来ニブンカ!」コラムと一緒に、実際の「味わい」もお楽しみください。
「美味しいのかな?いや美味しいはず…」と、今更思ってみても仕方のないことが頭を過りつつも、一口含んだ瞬間、ときの流れが変わったような感覚(止まったとは言わない)が訪れた。
「おお…」と感動の小波(さざ波程度かな)を覚えながらも、余計な事は考えずにその感覚に身も心も委ねてみた…。
“味わい”という、本当はなかなかお目にかかれないものに出会えたような気がした、そんな週末の午後。
慣れないことをするのも、案外悪くない。