Po! Vol.6

Po! vol.6
一歩先行く歯科医が共有したい事
神奈川県横浜市港南区 医療法人 天晴会 はらだ歯科院長 原田 圭一 先生
神奈川県横浜市港南区 医療法人 天晴会
はらだ歯科院長
原田 圭一 先生

歯と全身の健康には、「食」が根本にある

削らない治療をモットーとしている原田先生に、その真意と歯科医師としての考え方を伺いました。

最も大切なことは、いかに治療しないかということ

「削らない、抜かない、神経取らない、被せない」これは、当院の指針であり、実際に行っている治療でもあります。
歯を削れば虫歯は治ると思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、歯の削った部分の周囲を顕微鏡で見てみると、非常に細かいヒビや隙間がいくつも確認でき、ここに菌が繁殖することで、歯はくり返し虫歯になるのです。
そのうち神経を取ることになり、さらに痛みや不具合もわかりにくくなれば……歯の状態は悪化の一途をたどるばかり。

この悪循環に陥らないためにも、私はそもそもの原因を取り除くことが大切であると考えました。
治療することよりもいかに治療しないかということ、つまり予防の観点で歯の健康を徹底的に追求していく必要性を感じたのです。

歯や神経を抜いた場所は毒の貯蔵タンクになる

削らないことや抜かないことが大切な理由の1つに、歯と全身疾患との因果関係が挙げられます。
体の部位や臓器などは、それぞれが経絡(東洋医学で考えられている体の部位同士をつなぐ経路のこと)でつながっており、歯の一本一本も例外ではありません。
抜歯や抜髄(神経を取ること)を行うと、抜いた部分に細菌が残り、毒の貯蔵タンクとなってしまうのです。

その毒はやがて、経絡で強く結びつきがある部位や臓器を中心に悪影響を及ぼします。
抜歯や抜髄の際の完全な除菌は神の領域というほど難しいものであり、現在これを防ぐ手立てはありません。

約5000人の患者さんのデータをもとに、体の異常と抜歯、抜髄との関係を調べてみました。
例えば、糖尿病を患った経験がある70歳の男性は、右上の7番目、左下の5番目の歯を抜いていました。
それらの歯は、いずれも経絡上で膵臓とつながっています。

また、乳がんを罹患したことのある63歳の女性は、乳腺とつながっている右上7番目の歯を抜いていました。
2人以外の多くの方のデータからも、抜歯、抜髄した部分とつながっている部位のリスクが明らかに高まっていると読み取れました。

虫歯や病気の原因の多くは食べ物かもしれない

抜歯や抜髄のリスクがわかれば余計、歯を悪くする原因を断ちたいという思いになります。
私がたどり着いた答えは「食べ物」でした。なかでも気をつけたいのが砂糖です。
砂糖が歯に悪いのは言うまでもないのですが、昨今さまざまな方面から悪影響が指摘されていますよね。

科学雑誌ネイチャーでは、砂糖はタバコと同等かそれ以上に体に悪いということが書かれていました。
他にもグルテンフリーなどで話題の小麦粉や、意外にも注意したいのは牛乳(乳製品)です。
日本政府が「牛乳は、乳がん、前立腺がんのリスクを高める」と発表していることをご存知ですか? 
また、歯や骨に良いイメージのカルシウムですが、牛乳を多く消費する欧米人のほうが、日本人よりも骨折、骨粗しょう症が多いという相関関係が出ています。

「食生活と身体の退化」という本に、歯と食についての興味深い話があります。
著者が「なぜ自然界にはがんやアレルギーなどがなく、人間ばかり病気や虫歯になるのか、どこかに健康な人間はいないのか」と思い、世界中を探し回ります。
すると、エスキモーやアボリジニといった、現代文明とかけ離れた生活をしている人たちは、病気も少なく、歯並びも皆丈夫で、まさに健康そのものだったのです。
ところが、彼らに砂糖や小麦粉を使った食品を与えると、あっという間に虫歯や病気が増えていったそうです。

地産地消の自然に近い食生活を

彼らの生活に、良いヒントがあります。
彼らはその場で取れる肉や野菜、木の実など、自然のままのものを食べて暮らしていました。
加工食品や食品添加物など、本来人間生活にないようなものを摂取することで、身体に害を及ぼしていたと考えられます。
白砂糖は加工品ですし、牛乳に至っては、違う動物のお乳を飲むなんて、自然界ではありえないことですよね。
また歯のことで言えば、自然のままであれば固い食べ物がたくさんあり、歯茎が鍛えられるのですが、現代は柔らかい食べ物が多く、歯茎が弱くなる上にプラークも付着しやすいため、虫歯が蔓延するのです。

今思えばですが、
母の影響で小さい頃から食の健康には興味があり、小学生のときには自由研究で食品添加物を題材にしたこともあります。
後に大学で歯科の勉強をしている際も、教わることに疑問を持ち「歯を削ったり変にいじったりするよりも、もっと自然に治す方法があるのでは」と考えていました。
時間が経ち、研究を重ね、今ではこれは確信に変わっています。

写真

落ち着いたインテリアの清潔な空間で、安らぎを提供。

患者さんが知ることで正しい歯科治療は広まる

とはいえ、やはり現代を生きる上で野生に戻るような食生活は難しいですよね。
忙しさから歯のブラッシングにもなかなか時間をかけられません。
だからこそプラークを除去できる水「POIC水」で日頃から口腔をケアすることが重要なのです。

POIC水は奇跡の水です。少しゆすげば口の中はすぐに綺麗になりますし、殺菌剤も保存料も入っていません。
これを勧めた患者さんからはいつも感謝されますし、今まで2人、目の前で涙しながら喜んでいただきました。
特に障がい者や要介助者は、歯にプラークが残りがちです。介護関係者にこれを周知させるだけでも、大きな社会貢献になるのではないでしょうか。

これからの歯科医療は、私たち歯科医の技術向上はもちろん、
患者さんも知識をつけ、より正しい治療を受けるという選択ができるようになるべきだと思っています。
そのために、歯や健康にとって本当に良い情報を広めていく、伝えていく義務が、私たちにはあるのです。

神奈川県横浜市港南区 医療法人 天晴会 はらだ歯科院長 原田 圭一 先生
Profile ● 
1996年に神奈川歯科大学を卒業。勤務医を経験した後1999年にはらだ歯科を開設。削らない治療を広めるため各地のセミナーなどで数多く登壇。虫歯にならないための食生活指導など、予防的観点からの周知にも注力している。
歯科医直伝健康法 [其の六]一日一食!!
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先生が日々実践されていて、皆さんにオススメできる健康法をご紹介します。

私は基本的に夜1食しかとりません。
食事をすると、血液や酵素などエネルギーの多くが消化に使われてしまいます。
結果、眠くなったり、集中力が落ちたり……。仕事中には特に食べることを避けるようにしています。
そのほうが圧倒的に仕事がはかどるんですよね。

私の場合、夜はお酒の席に呼ばれることも多いのです。
そうなると、ついつい食べ過ぎたり、飲み過ぎたりしてしまいます。
その罪滅ぼしという意識もあるのかもしれません(笑)。

ジモティ医が選ぶ「3大地元名物」!プチ旅のしおり 第六便 上大岡~金沢
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取材で訪れた土地の名物や名所を少しだけ紹介。地元ならではの価値ある情報をギュッと凝縮してお届けします。

鹿島神社
創建年代は不詳ながら、鎌倉時代初期とされている。鳥居の前には「上大岡総鎮守」とあり、この地域一帯を見守る存在として、鎮座している。

八景島シーパラダイス
アトラクションやショッピングモールなどで構成された複合型遊園地。なかでも「シロイルカ」を中心に、水族館が大きな人気を集めている。

金沢動物園
金沢自然公園の中にある動物園。主に大型希少草食動物の展示が行われ、神奈川県では唯一コアラを飼育している。

豊かさに繋がる「先進!健康事情」くちは健康のもと。
健康的には全然甘くない! 砂糖は有害食品添加物!?
2016年10月、WHO(世界保健機関)による砂糖入り飲料への課税の呼びかけがありました。
この名目は肥満や糖尿病の抑制でしたが、昨今は砂糖の有害性が世界中で話題になっています。
砂糖はその精製過程で、苛性ソーダや硫酸などの危険な劇薬が用いられ、ビタミンやミネラルは根こそぎとられてしまいます。
砂糖の摂取により、体内ではビタミンB1やカルシウムなどを多量に消費。
これらが不足することで、体にさまざまな悪影響を及ぼします。

また、砂糖は血糖値を急激に上昇させます。これを下げるために体内ではインスリンが大量に分泌され、逆に低血糖に。
今度は血糖値を上昇させようとアドレナリンを過剰放出。
これにより思考力の減退、集中力の欠如、短気になるなどといわれています。
さらに、ラットを使用した実験では、空腹時に砂糖を多量摂取することで、コカインやニコチンなどの依存性物質によるものと似た神経化学的な変化が起こることがわかっています。
とはいえ、現代の生活では砂糖の摂取をゼロにするのはほぼ不可能。少しずつでも減らしていく努力が大切なのです。

メモ
バリーさん
暑い時期、特に気をつけたいのはアイスクリーム!
冷たくて甘みを感じにくいため砂糖が大量に入っているゾ!

未来ニブンカ.6
ワタシに、クラシに、新しい文化を!
日々の暮らしの中で、いつもと変わらず何気なく過ぎて行く出来事や
触れているモノに、もう少しだけ近づいてみませんか?
それはきっと、あなたの新しい文化となり、未来を豊かにしてくれるはず…。
イラスト
((ペットを、愛でる))
太古の昔から、神様として信仰の対象にもなっていた犬と猫。
狩猟のお伴だった「犬」は、獲物を捕まえたり、追わせたり、という役割でした。
穀物栽培の生活になってから人と暮らすようになった「猫」は、穀物を保存する場所のネズミ退治が役割だったと言われています。

時は流れて現代…。パートナーとして、暮らしをともにするようになった生きものたち。
犬や猫に限らず、金魚や文鳥、爬虫類、ハムスターからフェレットなど、様々な生きものが人と暮らしています。
残念ながら途中で放棄されてしまうケースもあり、殺処分や生態系への影響など、多くの社会問題にもなっています。
生きものの尊厳を守り、ともに生きようと愛する姿勢が、何よりも大切なこととして、問われ続けています。

はじめの一歩、まずは「ここから」。

❶生涯をともにする覚悟
犬や猫は、できるだけ保護施設などから引き取ることをお勧めします。「飼いたい」という気持ちが「命を救う」事に繋がります。そして、ゆりかごから墓場まで。途中で捨てる、飼うのをやめる、はできません。

❷家族の了解を得る
特に犬は散歩が欠かせないなど、協力なしでは厳しいものに…。

❸環境を整える
ご近所への配慮は勿論、居場所の確保も大切。家中が匂いや爪研ぎに晒されることも。

❹成長を楽しむ
育つのはとても早く、小さな時期は一瞬!
常に成長を楽しみたいものです。

❺健康的な食事
しっかり運動と、バランスの良い食事。小さな時から、好き嫌いが少なくなるよう管理していくことも大切です。

❻病気になったら
具合が悪くなった時や感染症予防、ワクチン接種などで動物病院のお世話になることも。

❼ともに歩む!
散歩することで健康を維持したり、遊ぶことでストレスを発散させたり。一緒に過ごすかけがえのない時間が、絆を深めてくれます。

思いやりを忘れなければ、ペットも飼主も周りの人も、幸せに暮らせるはず!

ポッとひといき…ブレイク &スルー ただただ、癒される時間を
イラスト
幼い頃、母が夜店で買ってきた鶉の雛を、手の中で看取ったことがある。
わずか数週間の命と、人によって決められた運命に、たくさんの「なぜ?」を感じながら、一晩中泣いていた。
短い時間だったが、健気な姿や鳴き声に癒され、その感覚と記憶は未だに消えていない。
多くの偶然や関わりの中で暮らす、我々を含めた「生きもの」たち…。
「触れ合い」「命の尊さ」「家族のような存在」と、生きものと触れることの素晴らしさはたくさん語られるが、想像以上にその命から感じ、学んでいることが、わたしたちには多い。
同じ時間を生きている小さな命の幸せを、偽善だろうがエゴだろうが、少しでも考えていたい。