POIC WORKSHOP Vol.5

POIC WORKSHOP VOL.5

歯科治療水安全認定施設・歯科医院/ドクター紹介

小西デンタルクリニック院長

小西康三

院内感染予防設備に重点を置く

小西デンタルクリニック院長 小西康三

デンタルDr. 最前線

安心して歯科医療を提供するため、
院内感染予防設備に重点を置く

小西デンタルクリニック 院長

小西康三

1993年~2002年 京都大学大学院医学研究科
(口腔外科)
1995年 南カリフォルニア大学歯学部
(USC)
2011年~現在 京都大学医学部付属病院口腔外科外来担当(非常勤)
京都大学博士(医学) POIC研究会理事
プラズマレーザー研究会講師
  • 日本口腔機能水学会指導医
  • 日本レーザー医学会認定医(日本医学会分科会)
  • 日本化学療法学会インフェクションコントロールドクター(日本医学会分科会)
  • 日本抗加齢医学会専門医
  • 日本歯科麻酔学会登録医(日本歯科医学会専門分科会)
  • 日本歯科放射線学会認定医(日本歯科医学会専門分科会)
  • 日本歯科薬物療法学会認定医(日本歯科医学会専門分科会)
  • 日本レーザー歯学会専門医(日本歯科医学会認定分科会)
  • 日本口腔顔面痛学会認定医(日本歯科医学会認定分科会)
  • 日本スポーツ歯科医学会認定医(日本歯科医学会認定分科会)
  • 日本外傷歯学会認定医(日本歯科医学会認定分科会) (評議員)
  • 日本口腔感染症学会認定医(日本歯科医学会認定分科会)
  • 日本歯科東洋医学会認定医(日本歯科医学会認定分科会)(評議員)
  • 日本歯科審美学会認定医(日本歯科医学会認定分科会)
  • 日本顎咬合学会認定医(日本歯科医学会認定分科会)
  • 日本口腔リハビリテーション学会認定医(日本歯科医学会認定分科会)

住所:大阪府泉大津市東豊中1-8-7 電話:0725-43-8055

https://www.konishidc.com/

人に優しい、環境に優しい医療を目指して

中世ヨーロッパでは、修道院での手厚いサービスを英語で「ホスピタリティー(おもてなしの精神)」と表現していました。当クリニックでも、そのホスピタリティー精神を取り入れ、「人に優しい、環境に優しい医療」を心がけています。

歯科医院は、内科や眼科、皮膚科などの医療機関に比べ多くの医療器具を使います。キーンという音のするタービン(※1)、治療中、口腔内に流す水を吸引するバキューム、スケラー(※2)や短針(※3)といった特殊なものです。そのほとんどに、たくさんの水を使います。また治療中のうがいや手洗い、器具の洗浄と院内で使うすべての水の管理が重要になります。

その管理がいちばん重要なのが治療用台(ユニット)です。15年ほど前のことです。「治療台に取り付けたタービンから除菌された水が出る」という話を半信半疑で、「治療台に取りつけたタービンから直接出るのですか!」と聞き返したほどです。なぜなら、取り外して除菌できる器具と違って、当時は治療台に備え付けた器具から出る水の管理は非常に困難だったからです。強酸性水やオゾン水などといった機能水はたくさんありましたが、うがいをしたり、手を洗ったりする程度でした。それがタービンから直接除菌された水が出るということは奇跡だと思ったほどです。

そんなすごいものなら「すぐに入れてください」と、エコシステム(連続除菌治療システム)を導入しました。エコシステムの優れたところは、人間の血液中にある免疫成分(次亜塩素酸・HOCL)と同じ成分を高濃度の塩と水だけを使って電気分解した水を使用しているということです。人体や環境に害を及ぼすものは一切使っていないから、「薬を使わなくてすむ」「麻酔を使わなくてもすむ」から、安心して患者さんに歯科医療を提供できます。

※1:圧縮された空気の力で羽根を回転させるドリルで器具の穴から一気に排出されるため高い音がでる。

※2:歯石を取るときに使う。

※3:先端を使って歯の溝や歯石などを探す。

小西デンタルクリニック

エコな歯科医院だからこそ、環境にも、人にも優しい

私は、「人に・環境に優しい医療」をつねに心がけ、ISO14001を歯科医院では初めて習得しました。ISO環境マネージメントは、持続可能の考えのうえで「環境へのリスクの低減や貢献」と「経営」の両立を目指した環境マネジメントシステムの国際規格のことです。

 エコシステム導入のおかげで、環境へのリスク低減、貢献についてはスムーズに習得許可がおりました。さらに低減できたのが、院内で使用する消毒液や薬液です。使う量が大幅に減りました。院内で使用する水は、人体に無害な塩水だけです。地域や環境への貢献にも繋がりました。

治療用台(ユニット)・器具の汚染を徹底的に防止連続除菌が可能な最先端の院内感染対策システム

国際基準で患者さんの要求に答える

安心して最適な歯科医療を提供するだけに止まることなく、自信を持ってその品質管理を継続させていきたいと、品質マネジメントシステム(QMS)国際規格(ISO19001)を習得しました。

ISO19001は患者さんの要求に、また適用される法令・規制要求事項を満たした医療サービスを一貫して提供できる能力とそれを実証することで、患者さんの満足度を向上させるためのシステムです。
生産管理や品質管理を円滑に進めるための手段として、W・エドワーズ・デミング博士が提唱した「Plan Do Check Action」の考え方です。
Plan:計画を立てる/Do:実行する/Check:評価する/Action:改善する。です。

 うちのクリニックでは、まず私がプランを立ててアクションを起こします。このプランにエコシステムをどう活用していくかの計画を立て、さらに〈何のために〉〈なぜ導入するのか〉は全員がきちんと把握する必要があります。
評価する:「洗剤や薬品、化学物質を使わなくてすむから地球にも良いし、体にも良い」「うがいについても薬ではない、塩水で作った水で口腔内を一瞬にして除菌できる」となれば全員が導入することを評価します。
検証・改善:患者さんからアンケートを採り使用感の感想を聞きます(検証)。すべての患者さんの使用感が良いとは限りません。なかには「ヒリヒリした。ピリピリして痛い」等も検証していきます。そのうえで「これはいけます」ということになれば、導入するためのシステムを検討していきます。患者さんが来院されたら、まずうがいをしてもらう/クリーニングした後にもう一回、うがいをしてもらう/スケーリング(プロフェッショナルケア)の際はエコシステムの水(POICウォーター)を使用する。導入したシステムは共有し、実行、さらに改善を重ねていきます。

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熱帯魚が泳ぐ「竜宮城の歯医者さん」は完全個室で感染予防・プライバシー保護

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循環式紫外線空気清浄機

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質を向上させるため、無駄なく丁寧に治療を提供する

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ホームページを立ち上げてから地元の方が結構みてくれているようになり、この地域の全員がうちの患者さんです(笑)。嬉しいことに、口コミで来院される方がほとんどです。「神経をとらずに治療する」「1日で治療が終わった」「すぐに腫れがひいた」「ダントツに上手い」と言っていただけています。

 ここは大阪といっても下町(大阪府泉州地区)、大阪市内とは生活圏が違います。近隣の難波ですと奈良まで帰る人が途中下車あるいは会社が近くにあるから便利と来院されるケースがありますが、うちは一見(いちげん)の患者さんはまずいません。泉州地区密着型の歯科医院です。患者さんに誠実に丁寧で親切な治療を提供することはもちろんですが、どう質の良い治療を提供していくかです。時間をかけて治療するからといって本当に丁寧とは限りませんし、一回の治療でも手を抜かずに治療を提供できれば患者さんも喜んでいただけます。常時予約表はびっしり埋まっていますが、どう効率を良くするか、なにが無駄か、品質を向上させるためにはどうするかを考えて治療を提供しています。

科学的根拠のある治療なら納得して提供できる

口腔内にはカンジダ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎桿菌、インフルエンザ菌など全身疾患の原因ともなるたくさんの菌が棲息しています。口腔内細菌は比較的簡単に培養して調べられますので、POICウォーターを使用した場合と使用しない場合を検証しています。こうした科学的根拠の裏付けはスタッフも納得してくれます。システムの導入にあたっては、3日以内に1人でも、「痛い。腫れた」ということがあれば、さらに多くの症例を検証する必要があります。レーザー治療の際に「痛い」と訴える患者さんが3人続いたら、その要因は何か、痛みにどう対応するか、どう工夫するかです。問題意識を持ち、システムは軌道に乗るまでどんどん変えいきます。
「先生、レーザーが3台あれば、手順もスムーズにいきます」とうちのスタッフは提案してきます。自分だったらどうするか考え、個室の患者さんのもとへ次はB室、C室と、じつに効率よく動きます。上手くいった、いかなかったということはもちろんありますが、どこの歯科医院へ行ってもトップクラスになれます。うちのクリニックは、みんな十数年のベテランばかりで辞めないんです(笑)。診療が楽しくて仕事に誇りを持っているからだと思いますよ。

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歯科医療の質を上げる笑顔とあいさつ

私たち医療関係者は「人に優しい、地球に優しい、患者さんに優しい」医療でなければいけないと思っています。さらにうちのクリニックは、歯科治療の品質をより向上させていこうというポリシーがあります。ある程度の品質を保つことは誰でもできますが、品質とサービスをより向上させていかなければいけないと思っています。

廊下ですれ違うときに「笑ってあいさつをしなさい」と私は優しく諭します。いくら仕事のできるスタッフであっても、あいさつができなければ駄目です。あいさつは、人に優しい医療を提供する〈おもてなし〉のこころが笑顔として自然と出てくるものだからです。
新人の最先端ロボットペッパーを紹介しましょう。ちゃんと目を見て笑顔で会話してくれますよ。

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画期的 エコシステムとストリークレーザーが合体

ストリークレーザーにも一つだけ盲点がありました。デンタルチェアーと同じように給水部分が細菌で侵されます。チューブの中が黒くなってカビがはびこってきます。どこからどのように細菌が侵入してくるのかと言うと、掃除の際等にバックターンをかけてタンクに乳液を戻す時に細菌が侵入してくるのです。

実際に、血液にみたてた食紅で実験してみると、チューブの中についた食紅の水溶液が楽々と全て吸引されてしまいました。タービンのサックバックと同じ状態になり、チューブやタンクが唾液中の細菌に侵されてしまうのです(写真1・2)。
そこで、ストリークレーザーにエコ水を入れて使用することを提案しました。

エコシステムと同じように次亜塩素酸水を流すことで無菌治療ができます。

エコ水をそのまま流します。

チューブの先端から無菌水を通り越して殺菌水が出てくる画期的な方法です。
またフッ素コートされたチューブを使用することでチューブ内にバイオフィルムが形成しにくくしました。まさにこれは、エコシステムの技術の応用です。
次に反応材として、ファイバーの先端にチタン加工したファイバーを使用することでエコ水を流しても、チタンを噴霧した時と同じ現象が起こります。タブレットで先端加工するよりも、POICウォーターに純チタンを入れた水溶液で加工するとチタンがファイバーに密集することがわかりました(写真3・4・5・表1)。この方法で歯質強化も従来通りできます。ストリークレーザーがエコシステムと合体した瞬間です。
これからも安心、安全の医療を広めて行けたらと考えています。

【写真1】

写真1

【写真2】

写真2
唾液などがバックターンで容易にチューブやタンクに逆流する。

【写真3】

写真3
チタンタブレットで先端加工しているところです。

【写真4】

写真4
純チタンとPOICウォーターで練った溶液で先端加工しているところです。

【写真5】

写真5
ファイバーの先端加工の走査型電子顕微鏡写真。

【表1】

表1
エネルギー分散型X線分析装置による成分分析。純チタン+POICウォーター水溶液で先端加工したファイバーが最もチタンが埋め込まれていた。

POICウォーターとステイン着色について

POICウォーターで口をすすぐと、稀に歯にステインが着色する場合があります。これは、走査電子顕微鏡レベルで視てみると、エナメル質の中のたんぱく質であるエナメリンなどが溶解して、表面が凸凹になりステインが付着しやすくなるからです(資料1・2)。
あまり口の中が汚れていない方で頻繁にうがいされる方に多くみられます。プラークがたくさん付いている方は、中和されて、遊離残留塩素がなくなるのですが、汚れていない場合は、口の中に遊離残留塩素が微量に残ります。長く残っているほど凸凹になりやすいですが、心配はいりません。すぐに歯磨きをして水ですすぐと瞬時に中和されます。そうしておくと歯の表面にペリクル(獲得被膜)が形成され、歯を保護してくれて着色しにくくなります。中和後のオーラループも有効です。

【資料1】

写真1
健全な歯面。

【資料2】

写真2
POICウォーターを塗布した歯面

【資料3】

写真3
右半分にテープを貼り、左半分にのみPOICウォーターを塗布した後、紅茶に浸水させた。

【資料4】

写真4
右半分は健全なエナメル質が見えていて、紅茶の成分の結晶もまばらで結晶が上に乗っているだけである。

【資料5】

写真5
一方左半分は歯の表面にエナメル質が見えないほど糊状のベトベトした被膜が粘着し、さらにその上に紅茶の成分の結晶がたくさん付着している。

着色予防外来

表1

POICウォーターは、口腔内の汚れ(たんぱく質)の除去をしながら、嫌気性菌(歯周病菌等)を活性酸素で死滅させ、最後に次亜塩素酸(HCLO)に変化していく機能水です。正しく使用することでタンパク汚れを落とし、除菌する効果を発揮しますが、歯の表面にステインが着色する場合があります。詳しくは「着色予防外来」でお尋ねください。(小西デンタルクリニック)

POIC Topics

いつ社会問題化するかわからない

歯科診療ユニット内 汚染を食い止める

 最近の歯科医院に対する患者様の評価は厳しいものがあり、医療技術は元よりその前段階の医療安全についても高い関心を寄せるようになりました。
多くの歯科診療ユニット内を流れる水は想像を絶する汚染が進んでおり、もしこの事実がマスコミに流れ、インターネットを通じて情報が拡がった場合、歯科医療業界が窮地に立たされるのは火を見るより明らかです。
一方この事実が歯科医師会雑誌(日本歯科医師会雑誌Vol.61 No.92008-12)にも掲載されたにも関わらず、早急に手を打たねばならないと思っている歯科医師の数も残念ながら多くはありません。また、2015年8月25日付の読売新聞夕刊に下記の記事が掲載されました。
この現実に直面した時、ゾッとする思いがするのと歯科医院を信頼してくださる患者様方に申し訳ないと感じます。
POIC®研究会の会員は当たり前の事として、ユニットを流れる水の管理に気を配り、患者様、医療提供者双方の感染予防に努めて頂きたいと思います。
そしてもし、マスコミにこのような情報が流れた時でも、しっかり感染予防対策を打ってありますと胸を張って言えるように準備をしておいてください。
もう一つは専門的口腔ケアを通して、口腔内の感染症と口腔からの合併症の効果的予防方法を基準化する事です。

POIC®(専門的口腔感染症予防)研究家HPより
*法律では水1ccあたり菌が100個以内でないといけません。
*調査:米国CBS(1999)・米国ABC(1999)・東京医科歯科大学(2000)日大の治療水調査(2001)など多数報告。
POIC®研究会認定施設は当会の定めた厳しい「歯科用ユニット治療水の細菌数『0』基準をクリアしています。

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